日日の切れはし:20201006

創作

どうも、ゆきひらさぎりです
読書と言っても様様で、こちらののび太くん(?)のようにアクションプランにまで落としこむやりかたもあれば、一文から一語まで、あまさず素材として活用するやりかたもあります



特に創作に役立つのは後者で、たとえばこのような文章があります

 天気のいい日に床に映る半回廊の木彫りフェンスのシルエットは野趣に富んでいる。よく半回廊の壁ぎわにしつらえられたベンチに座った老人が、手すりに肘をついて、飽くことなく外を眺めている姿が見られる。老人は木の家に住んでいる木の精のようで、まばたきもせず、にこりともしない。ただ、通りかかる人にうなずいてみせるだけである。

みや こうせい『羊と樅の木の歌 ルーマニア農牧民の生活誌』p.96 朝日新聞社

非常に絵になる情景で、床に映る木彫りフェンスのシルエット、半回廊の壁際のベンチ、ベンチに腰かけるまばたきもせずにこりともしないただうなずくだけの木の精のような老人など自作に使えそうな部品がいくつか拾えます



応用もききますね
壁ぎわのベンチを二階の窓辺に変更し、老人を少女や少年に変えれば深窓の令嬢なり病弱キャラなり訳あって外に出られないが助けを求めることもできないキャラになりそうです



漫画であればなんらかのかたちで主人公と交流させてもよいですし、訪れた村や町の雰囲気、異質さを伝えることもできます
複数の家屋の窓に配置すれば村や町全体がこちらを監視しているかのような演出もできるかもしれません

屋根裏のピラミッド型の空間は、がらんどうで大人が立って歩くことができる。屋根裏には子供たちの使い古した教科書やノート、名作小説集などが散乱していたりする。下から煙がほどよく回って乾燥しているので、飼料や保存食の貯蔵庫にも用いられる。ほぐしたとうもろこしの粒が笊に入れてそのまま置いてあるのも屋根裏部屋だ。梁には長々と連なってソーセージが懸かっている。

みや こうせい『羊と樅の木の歌 ルーマニア農牧民の生活誌』p.97 朝日新聞社

屋根裏というとぼくなんぞは映画『グーニーズ』を思いだしますが、あんな感じでがらくたともお宝ともつかないものがほこりをかぶったままごろごろと転がっているイメージが漠然とあります
湿度が低ければ上記のように貯蔵庫にもなりますし、高ければ食品の発酵や湿気を好む植物の生育に利用されるのかもしれません



抽象度を上げ、居住空間からの上昇(または下降)を経て異なる領域(屋根裏部屋、地下室)に到達する、という型を抽出し、家以外の別の何かに組みこむこともできるでしょう
上昇、下降の手段、過程に仕掛けを用意したり、たどりつく場にも工夫をしたり



現実世界における暮らしの構成要素を異世界ものに持ちこんで使うこともありますね
ほぐしたとうもろこしの粒が笊に入れてそのまま置いてある、のところはとうもろこし以外のオリジナルの食物に変えられますし、スローライフものなら収穫から貯蔵までの流れをしっかり描写することで作品の強度が高まります
ほぐすの部分が砕くであったりひねるであったり、特殊な道具や手段を使ったり意外性があればあるほど独自性が増すでしょう



使い古しの教科書、本、そしてソーセージもそれぞれうまく働いてくれそうです
キャラクターに絡んだエピソードを付すのもいいですし、喧嘩や戦闘シーンにおける小道具として機能するかもしれませんし、ひょっとしたら進行展開のキーアイテムになりうるのかもしれません



背景ひとつ描くにしても知識量が関わってきます
描きこみ量が膨大であるとか、細部への偏執を感じさせるとか、そうしたものの土台はこのような地道な素材集めによってつくられていたりします



なのでなんとなく読みとばす、なんとなく消費してしまうのではなく、一つひとつを素材として扱う、利用できるかどうか、ストックできるかどうかという観点で逐一手にとる習慣をつけておくと、いざなにかつくるとなったときに引きだしが空で困るということがなくなります
ぼくもアナログ時代はクロッキー帳にあれこれ描いていました(マルマンがおすすめ

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