『Iris』

「水を読むの夜みたくひかりの諱をたどって」



緋のゆるやかな深奥に投射と敷衍の帰趨としての月を見るようなあなただった。
周縁ばかりをわかりもしないでなぞって還れば夢端で、いられないで忘れないでおさなさそれぎりうるさかったわたしはそんなんだからかつたなさを、ひろって憶えて縋ればかすかな聲にだってひとつだって残したって知れないでゆけなかったどこまでなんて思わないでいられた。



「罅われないなら記されないでも秩序立っていられた?」



あいたかっただれかだったあなただってどこにだっていないふうにわたしは哥って泣きたかったどうしてってひとりで、ひとりでいたってそんなんでだってわたしはわたしでよかったねって思いたかったのにってひとりで、ねえ、どうにもならない事事の、どんなにやさしいゆきはてまでを、あなた、描いたろうか、わたしに消えないあなたに癒えない透明刮いで灼きつけて、しずかでそんでもきれいでいたなら毀さないで歪めないで届かないでいられたって、塞いで、ねえ、きれいで。



「ほどけないで風みたいでわからないでいたいなんて零して」



時間も、遠さも、つめたさだってわからないでいつまでだってわたしはわたしでいたいんだってこぼして、誰にもならないなんにもなれないいつかのわたしで変わらないであなたはありたいいつまでだってありたいなんてこぼして、ゆくものすべては白花を結んで苑に沙を梳く、祈りのことばの際限無くせばどうしたって愛に似る、あなたはあなたでわたしでいないでなんでだってゆるがないでいられるどんなにちいさなことばであっても呪わないであなたは狂わないでいられる願うなら、ゆき去って、灯りもしないでゆらめく星さえ厭わないで逸らさないでいられるの翳さないであなたはいられる願うなら、いまだって、信じて。

コメント

タイトルとURLをコピーしました