詩はおまえを愛し、おまえを呪った。
おまえの母のように。
詩はおまえを赦し、おまえを倦ませた。
おまえの恋人のように。
わたしを抱く焔のかけら、器官をなめらにとかしては、古びた痣の、刻印の、輪郭を焼く、証しを立てる。
故郷の風は、わたしを絆し、贖われた罪の血の、結いつけられた腕首を、夜の凪いだ海辺に照らしだす。
遠い日に、降る星の軌跡の影を、この上なくうつくしいものと、そう信じていた。
ゆりかごの、あなたを見守る鳥たちは、永遠のあわいに揺らめく魔法のような、滅びた願いのようなささやきを零します。
奔流の、忘れられた言葉に似ているの。
音階の、捨てられた哥に似ているの。
誰にだって教えない、秘密の苑の花陰で、窒息する私の喉を切り裂いて祈れよ。
きみの目は、ひとりぼっちでまだ開かない。
月の温度も知らないままに、膚の、臓腑の、置き換えられて上がる産声は、誰の愛したものだったか。
水底のおさない夢は、かすかな瑕をまどろみに隠して、しずかにたたずんでいる。
深淵に果てもなく、あらゆることの、すべてのことの、あなたのほそいゆびさきの、あなたのいのちに流下して、紡ぐ者のなかったひびきのひとつ、ほんとうだけを、ぼくにささげる。

『私、〇〇』
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