あなたたちは季節を知らない
透くものの捉えがたくつめたいゆびさきのように滲む春月を知らない
はざめにとどまるひかりの位相を知らない
たゆたうふうに呼ぶ声の遠つゆきはてを知らない
私を知らない
千年だって誰だかを待って塞ぐことなんてなかった
時間なんていくら覗いたって利口なばかりでこれっぽっちも必要なかった
いいわけくらい、させてほしい
うるさいちいさな子どもでいたりなんてもうしないって何度だって約束したけれど、そうしたあたしでそれでもだめだなんて夢にだって見やしなかったひとつきり、わずかも
散る風のどこまでもきわやかできれいじゃない、ねえ
あなたの世界におしえてあげたいどんなにふざけた仮象であっても内在する語のかすかさだけはいつだってやさしいしずかで、うそぶき、まだ聴けないで待って撓の糸雨は忽
こたえなんてなくてだから好きだってわかるのぼくらはうつろう夕凪を追って
はじまらないで旅、てのひら、拡散するって懐かしさってあっていつだってぼんやり軋んだ覚めも褪めもしない中空をながめてまどろんだわたつみ、ゆらめくあなたの温度を知らない
背を向けたくって心音描いた朝まだきだってあなたの翳より愛よりぼくらはきっと知らない
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