『Selene』

見も知りもしない世界の話ばかりしていたいの憂鬱と滲透の反転するふうな言葉で(いつでもいつだってあなたは最後まで薄っぺらくひきのばされた印象の絵筆をわたしに返したりなんてしないでしょう)だれにだって起こりうるいつわりをなぞって塞いでなんにも悪くなんかないって夢見てんでしょうばかみたく(空をながめるみたいにきれいにあなたはずっと夢ばかりみているだから)きれいでいたいと言ってきみはそうしていられるのかもしれなかったきっと(生きてそのままできみでいつまでもいられたのかもしれないきっと)ぼくたちは果てまで壊れた境界線のむこうがわへとたどりつきたかったことを憶えてるってきみがそう言ったからいられるのいまも(変わらないでいまだっていられたのきみはきみがそう言ったからいつも)、祈りのうたなら過ぎ去って、たったのひとつもあたたかさなんて残らないでまだちいさなてのひらをつないだ、だから夢ばかり見てる、きれいな夢を、そればかりみてるよ。


窓辺に吹きこむ鎖のような風が事象を永遠にする。
完成しないでゆらめく星なら零れた沙ごと愛おしい。
鏡面越しの欠損。
薄青の偶像。
なんにもできないわたしでなんて一秒だっていたくなかった。
無彩にかさねた無彩の綾が、波紋を描いて真空の月へと照射する。
夜の瀬を歩けばありふれた断片のことごとくが証だてるようにあまく透過した。
ねえ、わたしたちは、選んだよ。
生まれることも、死ぬことも、この手でたしかにえらんだよ。
まちがいばかりのいまだとしても、すべてをうしなう今日だとしても、わたしはわたしでいるんだよ。
夢ばかり見てる、いつかのわたしのそのままで、きれいなまんまでいるんだよ。
変わらないで、ずっと。

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